yuriのblog

日々のあれこれや、小説・海外ドラマ・ゲームなど、好きなことについてたくさん書いていきます。

フランツ・カフカ「変身」

 

 

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章を転載していきます。

 

「本日の夢は間違いなく虫です」

2017.11.07

 


わたしはもともと海外の小説が苦手だったので、ほとんど手に取ることがなかったのだけれど、いったん夢中になってからは止まらず、そして読むたびに「カフカカフカならぬカフカに影響を受けたカフカ+〇〇を足したような……」などといった記述があまりにもたびたび出てくるので驚いていた。


また、読んでいておもしろいなあとおもう作家について知ろうとすればするほど、またカフカかいっ! とおもわず突っこみたくなるほどに影響をうけた作家にカフカの名前を挙げていることが多く、であるからしてわたしのなかのカフカ像は読んだことがないにもかかわらずどんどん膨らんでいって、つまり、勝手にびびっていた。


読みたいのはやまやまだけれども、みんなそんなにカフカカフカ言わないでくれよ。っていうかなんというか、いや誰もそんなつもりでは言っていないのだとしても、ジブリが神聖化されすぎていて手ぇ出しにくいわ! ってな人がいるかもしれないように(いやたとえ話でね)、ハルキストさんたちの熱狂ぶりに作品を読んだこともないひとが嫌悪してしまうように、つまり何がいいたいかというと、なんかそういうことって対象はそれぞれ違えどもありません? ってことで。

 

 

というわけでおそるおそる購入しながらも内心めっさ読みたかったんやけれども本棚にしばらく鎮座なさっていたこの「変身」、開いてみたらば早食いのように読み終えてしまってこれまでのびびり具合いを疑う始末。おもろいやないかああああああああああああああああああああああああああああああああああああ読みやすいやないかああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぜえぜえ。
なんでもあれですね食わず嫌いならぬ読まず嫌いはだめですね。別に名作と言われていようが有名であろうがなかろうが自分が読みたいとおもうものは読めばいいのだというそういうことをあらためて。

 

 

とずいぶん話がおかしなほうへいってしまったけれど、一行目からびっくりおったまげ起きたら主人公は虫になっているというわけで、おまけに虫というてもそんな生易しいもんではなくわたしが読む限りありったけの気持ち悪さをこめて書かれているわけで、わたしは最後までぞわぞわして、なんだかよくわからんあいだに終わってしまったんであった。

 

 

けれどもなんだか笑えてしまうのが不思議なところで、主人公グレーゴル・ザムザの冷静さが半端ない。もうちょっと驚愕してギヤアアアアアアアアアアアアぐらいの声はあげてもいいんでねえの? とか、なんかわし起きたら虫になってたけども今日の仕事どないすんねん社長にめっさ怒られるけども!!! って心配してはるけどそっちですか? とか、突拍子もない設定がそうでないような描かれ方が斬新でおもしろく、そして何度も読み進めながら、たしかにいろいろな作家たちの片鱗が見え隠れしているような気がして、いやそもそもカフカさんが先なんやけれども、いままで読めなかったわたしはそんなことを考えておりました。

 

 

描かれているのはゾンビ+世界の滅亡(ウォーキング・デッドハマりすぎ注意)とか隕石落下寸前+人類慌てふためくとかそんなんではまったくなく、ただただ主人公が虫になってしまった事実と困惑する家族のなんてことない日常で、あとがきにも書かれていたんだけれどもそもそも虫になったってなにも不自然ではないんだ、とおもってしまうような書かれ方が、ほんとうに不思議でたのしかった。

 

 

メッセージ性のつよい物語も好きだけれど、いいよなあ、こういう、事実を淡々とってのは。常識なんて一歩外へ出てみれば場所によってころころ変わってしまうのだし、当たり前なんてすぐになぎ倒されてしまうのだし、明日起きたらわたしも虫かもしれへんでどうする絶対にないって誰が言いきれる誰に言いきれる! と興奮してあやしいひとになったところで、いやあんたどんな読み方や、ってな意見は華麗にスルーして終わります(やっぱ小説がこの世で一番自由やでてかきょう絶対夢に出るで虫覚悟!)。