yuriのblog

日々のあれこれや、小説・海外ドラマ・ゲームなど、好きなことについてたくさん書いていきます。

ドストエフスキー「白夜」

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。

 

 

「爆笑爆笑&切なすぎて死んだ」

2019.03.29

 

ドストエフスキーの作品にでてくる内向的な人物がだいすきなわたしは、いつも読みながら身もだえして笑ってしまうのだけど、あ、これはちょいと短めの、長編よりも気張らずに読めるやつやんかあとおもって手に取った。

 

ら、案の定笑いがとまらなくて風呂で死亡、
というのもこの青年が憎めなさすぎてたまらないのである。

 

まずはじめに。
この青年は人とかかわらずにゆうたら自分のなかだけで、心の内だけで空想をしている。

 

そんなわけなのでペテルブルクの人間と、もう八年も住んでいるにもかかわらず、たった一人とも知人になることができないのだった。ペテルブルク中の人間を把握しまくっているにもかかわらず!

 

それでなんとね……。
空想しながらお散歩なんかしていると、建物たちと心を交わしてるようなきもちになって、語りかけられているような気になってる案配。ぐはーっわたしはあんたがすきやで!

 

からのね、つぎはペテルブルク中の人間が別荘へ出かけそうな勢いなのに、
なんで自分は別荘、行く予定もないし、行くひともおらんのに、なんでみんな別荘、ああ別荘、みんな別荘……
とおもっていた彼、もうむしろ行ってしまってー!行ってしまった物語きかせてー!

ってな興奮と笑いとで読みながらにやにや、でもどこか笑えない、笑えないのはわかるで、とおもうからであってやっぱり私は「罪と罰」や「カラマーゾフの兄弟」もおもしろく読んだのだけどそれらよりもどちらかというと、いや正直いって断然「地下室の手記」やこの「白夜」のような、自意識ダダ漏れがすきなんである、ってこれ何歳までいうてるのかな、という不安も少々あるけれど、

 

それでそんな夢想家センチメンタルな彼は、あるときひとりのきれいな少女に出会う(ナイス右手のステッキ!)。ひさしぶりの会話、しかも相手はうつくしく儚げで……。

ふたりの会話はなんとも可笑しい。かわいくて、切実でたまらないのである。


話がどんどん切なくなるのは少女に、いわゆる約束の相手がいたからで、彼はその相談にのってあげているのだが、そこまで不安におもうなら手紙、出したらいいのや! とすすめる彼にナースチェンカは弱気、どんなふうに書けばいいのかわからない、といわれる、このやりとり……この場の、当人たちの切実さよ……もうぜったいに、真剣なふたりなのだから笑う、なんてことは許されないのである。でもにやにや、からの結末……。つら。つらみの極みのつらっ。

 

はあ。これは、ドストエフスキーの短編による作品で、人間の愛の本質を真正面から問うた……とか書かなくてごめん!
だれに謝ってんのか謎やけれどもごめん。つらみの極みで胸が死んだわ……。

でも青年に光がありますように!
わたしも頑張るからさ青年!
わたしはあんたが嫌いじゃないんやー。

ってかこの作品1848年発表ってほんまに?
百歩譲って去年、春、刊行、とかではなくて?
人ってのはなんちゅう繰り返す生き物なのや……

最高。