*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。
「ずっしり重たいけど止まらないよ」
2020.02.03
「レベッカ」、「破局」と続いてこんどは「レイチェル」を読んでみた。
文庫本で読んだのだけどなかなか分厚いので寝転びながらだと手、つりそう。
それでも一度読み始めると止まらなかった。
「レベッカ」の時もそうだったけど作者の小説は次の行、次の行への吸引力がすごいなあとおもう。
*
主人公、フィリップを幼い頃から実の親のように育てたのは年の離れた従兄アンブローズだった。
お互いに信頼しあっていたふたりだったがアンブローズが急逝したことにより、物語は大きく動き出す。
フィリップは、兄の身にいったい何が起こったのかと、表向きは病気とされていたがこれもまた突然だったイタリアでの結婚と大きく関わりがあったのではないかとまだ見ぬアンブローズの妻レイチェルを疑るのだった。
そしてある日、レイチェルはやってくる。
いかにして問い詰めてやろうかと恨みを育てていたフィリップだったが……。
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フィリップが、
レイチェルに会うまでも丁寧に物語が紡がれるのでその丁寧さを楽しみつつも「はよはよはよレイチェル出てこんかい」とページをめくる手がとまらない。
からの出てきてからもさぞ翻弄されるのでしょうと身構えていたのにもかかわらず読み手であるじぶんも気付けばレイチェルに、というか作者にコロコロ転がされながらのあっという間の最後まで。
結末も、分かりやすい終わりでなく様々な解釈が出来そうで余韻に浸れるのも良かった。
そしてつい、無いとは分かりつつもレイチェル目線からの「レイチェル」も読んでみたいなあとおもったりまた、映画のほうも観てみたくなった&読み終わってしまった今は長編のずっしり具合が手、つりそうやけど恋しいのだった。