*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。
「チボー家の人々」 4
2020.11.16
続、一気読み警報発令中。
そろそろオースティンに空から叱ってもらわんと。
四巻では人間関係の複雑さについて、書かれていたようにおもう。
まずはフォンタナン夫人。
ダニエルの母親であるフォンタナン夫人は、浮気者の夫をかんぜんに振り切ることができない。
あるときはもう、いったんはおさらば! とおもうものの金がないと助けを求められると(それも浮気相手と共にいる)理屈でなく行ってしまう。
そして感情はさまざまにいれかわり、いっさいの恨みなく晴れやかになっていたりもする(フォンタナン夫人の信仰心とも関係している)。
この浮気者の夫ジェロームはフォンタナン夫人だけでなく、数々の女を泣かせ、また息子であるダニエルも似ているのがなんともいえない。
じっさい、息子ダニエルの目にジェロームの目を見た女もいた。
また後半ではアントワーヌの恋も書かれる。
ジェロームや、ダニエルたちの持つ関係とは違いアントワーヌはラシェルというひとりの人間との深い関わりのなかで、じぶんのおぼっちゃまとしての人生ではまるで味わうことのなかった経験を聞き、知る。
ラシェルは波瀾万丈な人生をおくってきた野生的なひと。
お互い気を許し、話し、
幾日もともに時間を過ごしたことは、
アントワーヌが鎧を脱いで彼女に想いを馳せたことはアントワーヌのなかでおおきな出来事だったろう。忘れられないたったひとつの。
しかし、ラシェルもまたフォンタナン夫人とおなじく恐怖を感じていながらも危険な過去の相手へと戻ってしまう。
そんなことは百も承知で、
けれど……というようなラシェルの心の動きを読み、
アントワーヌのなにも言えないのを読み別れを読み。
それから、
しかし正反対を行っているのが三巻のおわりでも続きが気になっていたジャックと、ジェンニー。
ふたりの関係はひたすらに精神なのだった。
ちょっとした会話からふたりがいま(小説のなかのいま)精神で戦っているのがぶつかり合っているのがわかった。