yuriのblog

日々のあれこれや、小説・海外ドラマ・ゲームなど、好きなことについてたくさん書いていきます。

トラウマ、でも大好き--「おしいれのぼうけん」

 

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。

 

「トラウマ、でも大好き」

2018.10.01

 

 

 

「おしいれのぼうけん」が子供の頃大好きだった。

でも自ら進んで読んでいたわけではなくて、覚えているのは保育園での朗読の時間。記憶の中ではおしいれのぼうけんが読まれたのは昼寝の前で、寝ない子供がいるとねずみばあさんの声が録音されたテープが園内に響き渡っていた。

もしかするとあんまりにも怖かったから、私の記憶が書き換えられているのかもしれない。本当はねずみばあさんのテープなんか無くて朗読だけだったのかもしれない。今となっては聞く人がおらず確かめようが無いのだが、それぐらい私は当時ねずみばあさんが怖かった。

ある時おしいれに閉じ込められる二人。
真っ暗なおしいれの中で、二人は長い長い冒険に出る。
途中出てくるのが私が後にトラウマにもなる “ねずみばあさん”。
意図してなのかは分からないけれど、白黒だけで描かれているのもあって余計に恐怖感が増していたように思う。

私は今でも「おしいれのぼうけん」が忘れられない。「おしいれのぼうけん」単体ではなく怯えていた感覚もセットになって付いてくる。

もちろん、トラウマだったというぐらいだから、記憶にこびりついていて当然といえば当然なのだけど、姉と昔話をする際に頻繁に出てくるのもねずみばあさんだし、手元に本が無くても度々記憶に蘇ってきたりする。

怖くて怖くて、想像の世界で思考がぱんぱんになっていたからかもしれない。少しでも早く出たいのに出られなくて、忘れられなくて。幽霊やお化けなんかはちっとも怖くなくて、ホラー映画なんかも平気で見ていたのに不思議なのだけど。

だから他にも思い入れのある絵本はあるけれど、私にとって「おしいれのぼうけん」はやっぱり特別だ。

トラウマではあったけれど大好き。
この歳になっても忘れられないのはそういうことなのかなあと思っている。