yuriのblog

日々のあれこれや、小説・海外ドラマ・ゲームなど、好きなことについてたくさん書いていきます。

「トリツカレ男」いしいしんじ

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。

 

 

「トリツカレ男に心当たりあり」

2019.08.18

 

主人公のジュゼッペは一度あるものにとりつかれるともうそのことしかみえなくなってしまう。あるときは三段跳びまたあるときはオペラからのサングラスをあつめてハツカネズミを飼育しそれからそれから……。

どんな声もジュゼッペの耳には届かないのだった。

飼育した際に残ったネズミとは相棒のようになる。
そしてあるとき、過去のとりつかれ具合なんてかんたんに凌駕してしまうほどの少女「ペチカ」との出会いがあって――。

ひらいて、何行か読んだ際にギョッとして思わず買ったは良いものの本棚にねむらせていた作品、心当たりがあるなあ。じぶんも顔面のまえでバチンと手を叩いてもらわないとあるいは叩いてもらってもその時々で夢中になっている何かから戻ってこられないことが、現在進行形であるから。

やさしい文体で、やさしい語り口で深いことが物語のあちこちに散らばっていると思う。

そういえばわたしにもジュゼッペのペチカへの思いみたいに唯一、とりつかれ続けてるものがあった。
ずばり小説。読んだり書いたり創作したりすること、でもこんなにたのしいこともないからトリツカレ続けてやろうではないの(もちろんたのしいだけでもないけれど)。