yuriのblog

日々のあれこれや、小説・海外ドラマ・ゲームなど、好きなことについてたくさん書いていきます。

ジョン・アーヴィング「また会う日まで」

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章を転載していきます。

 

 

「同じ時間を一緒に過ごしたいから」

2018.05.10

 


途中別の小説を何冊か挟みながらも、ようやく「また会う日まで」を読み終わった。

 

私にとってのアーヴィングはおそらくこれが四作品目、もちろんそのどれもが上下巻の長編なのだけれど、今回がこれまでで一番長く感じたように思う(事実あとがきを読むと、全作品の中でもかなり長い作品であるらしい)。


とはいえ今回も、最後まで思う存分楽しませてもらった。元々が大の長編好き、ということももちろんあるが、読みながらしみじみ思っていたのは、やっぱりアーヴィングの小説はアーヴィングの小説なのだなあ、ということで。


うーん。とはいえうまく書けない。その「やっぱりアーヴィング」とは何なのかを言い表わそうとすると、どんな表現も陳腐に思えてしまう。たとえ独特の世界観、なんて書いたとしてもそんなありきたりな言葉、ページを開いてしまえば一秒で消えてしまう。

 

だから今素直に思うことを書いてみるならば。私は、アーヴィングの小説を読んでいると「同じ時間を一緒に過ごしているような気持ち」になれるのだと思う。幼少期から始まって少しずつ少しずつ成長していっていろいろな人に出会って、一緒に驚いたり悲しんだり新しい気持ちに気付いたりしているうちに、たとえ読んでいるのが物語であっても身近な場所についてではなかったとしても、どんどんどんどん離れがたくなっていくんだと思う。

 

今回の主人公ジャック・バーンズにしてもそう。ジャックをとりまく環境の、刺青もオルガンも船乗りも全然身近な存在ではないけれど、読んでいるうちに一人一人に思い入れが強くなっていくから、いいことも悪いことも含めて追い続けたくなるから、なんかもう読めて良かったなあ幸せやなあって、アホみたいな言葉しか出てこなくなる。

 

だから下巻で起こる様々な出来事(それぞれのその後)も、見てきたからこそ受け入れられるというかしがみついていくしかなくて。

 


 ジャックの思いももちろんのことその他全員(!)もうもれなく全員(!)に気持ちがあるってことを突きつけられるし、同じ人間なんていないっていう当たり前のことを(小学生の標語みたいで書いてて恥ずかしいけど)、バチコーンと顔面に叩きつけられたような気持ちになる。

 

ああもう一回いろんなこと「自分で」考え直さないとな。いろんなの中の「いろんな」の果てしなさたるやファーーーとなるけれど。なんてよく分からんことしか書けないけれども結局思うことはひとつだけ。しつこめに、ホントウニヨメテヨカッタ。デス。