yuriのblog

日々のあれこれや、小説・海外ドラマ・ゲームなど、好きなことについてたくさん書いていきます。

「杏のふむふむ」杏

 

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。

 

「出会いを大切にする杏さんのエッセイ」

2016.11.03


モデル、女優、文筆など、様々な分野で活躍されている女優の杏さん。
連続テレビ小説ごちそうさん」でヒロインを演じられたことでも話題になりましたよね。

本書「杏のふむふむ」(初版2012年)は、杏さんが自らの出会いをつづった初の著作となるエッセイ集。杏さんの何事にもまっすぐで一生懸命なところに惹かれていた私は、発売当初に急いで買いに行ったことを覚えています。

このエッセイ集は「出会い」をテーマに綴られており、杏さんがこれまでに出会った人や思い出がたくさん詰まっていて、いい意味で変わった視点から描かれる文章は絶妙に興味深いものでした。

一つ目の章「大切な思い出」では、小学校時代の担任「エンドウマメ先生」との思い出などが綴られています。生徒が書いた日記にイラスト付きのコメントをくれることが嬉しかった話や、ひとりひとりの個性をきちんと観察して賞をくれた話など、心温まるエピソードがたくさんありました。

読んでいるとなぜか自分の小学校時代が蘇ってきて、読書をすればするほど貯金が貯まる「読書通帳」を作ってくれた先生のことを思い出しました。

そのほかにも、愛犬ハリーのことや、中学校時代に出会った歴史漫画「風光る」をきっかけに歴史にどんどんのめりこんでいったエピソードも。歴史好きとして有名な杏さんですが、近ごろ「山登りが好きな山ガール」「天体観測が好きな宙ガール」などの言葉が出てきた先駆けは「歴女」からきているのではないでしょうか。

テレビ番組で歴史の話をされていたのを見たとき、専門家の方も驚くような知識力と共に「昔の人は寿命が短かった、だからこそ自分の年齢と照らし合わせたとき、もっと頑張らないといけないと思う」というようなことを語られていて、

「今があるのは過去の歴史があるからこそ」という当たり前のようで忘れがちなことを当然のようにおっしゃる杏さんは本当に素晴らしいなと思いました。杏さんがどのようなきっかけで「歴女」になったかが垣間見えるので、歴史好きの方も楽しめる内容だと思います。

二つ目の章「仕事での出会い」では、19歳で単身ニューヨークへ行き、そこからモデルとして世界中を飛び回るきっかけなどが書かれています。すらっとした長身とクールな表情からは計り知れないバイタリティーにはただただ尊敬するばかりでした。

最後の章「出会いは広がる」は、一つの出会いをきっかけに広がっていった素敵な奇跡たちのおはなし。読み進めているうちに、手書き文化が薄れる中で手紙を書くことを大切にされているところや、かかりつけの歯医者さんが信長好きだったことをきっかけに仲良くなってしまうところなど、積極的に出会いを大切にされている杏さんだからこそ、いきつく先々で愛されるのだなぁと感じました。それは奇跡のようで、杏さんだからこそ成せる必然だったのかもしれません。

今年双子のお子さんを出産された杏さんですが、そのまっすぐな視点と一生懸命さで、これからも素敵な出会いをされるんだろうなと思います。いい意味で独自の視点をもち、知的で好奇心旺盛な杏さんのエッセイ、まだ読まれていないかたはぜひぜひ目を通してみてくださいね。