yuriのblog

日々のあれこれや、小説・海外ドラマ・ゲームなど、好きなことについてたくさん書いていきます。

アンナ・カヴァン「アサイラム・ピース」

 

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。

 

 

「まだまだ知らない本がたくさんだ」

2020.09.15

 

たまたま手にとった。
大切な一冊になった。
一つひとつの作品は短い。
どれもに切迫感があって、どの作品の「私」も不安定だったが、読んでいると落ち着く。
ただ状況が、言葉となっていたからだと思う。
囚われているような「私」。
頭の中の機械に苦しむ「私」。
不眠や、あらゆることが疑わしく思えることなど、そんな作者の世界(内面)が、小説となっており読んでいたら落ち着いた。
救いとか希望とかが、書かれていたのではないが、ただそのような状況があること、が、書かれていて、それを読めることはハッとするし、読むって言葉を増やしていけることだと知る。じぶんのなかに。
題のアサイラム・ピースでは、これもまたいくつかの章にわかれているが、クリニック(精神の)にいる患者たちが書かれていて、ボートを漕ぎ、対岸に渡ろうとするマルセルだったり(彼はどうにか、“今”から進もうとした)、執着だったり、子どもにかえってしまう患者だったり、読み終わったこの気持ちいったいどうすれば良いだろう? というのふくめて丸ごとぜんぶ、大切にしたくなった。