*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。
「チボー家の人々」 10
2020.12.15
とうとう十巻まで読み終えてしまった。
さいしょのほうは勢いで読み進めていたけどここ最近は静かに読んでいる。
じぶんの知識不足で理解できてないところも多いし、
改めて読者側が問われるところも多かったから、のように思う。
戦争は目前にあるけれど、
最後まで気を抜くつもりはないジャック。しかし仲間たちは必ずしもそうではなかった。
兄アントワーヌのほうも少しずつ内面の変化が起きておりこちらは本として読んでいるから眺めていられたけど関わりのないことではないから(読み手も)問われる。
振り返ってみると、「チボー家の人々」は読む時期によってまったく感じ方が変わってくる本だなあとおもった。
もちろんそれはどんな本にも言えることかもしれないけど、すこしまえだったらすぐジャックにばかり意識が向いていたかもしれない。
しかし、今年はじぶんなりにたくさん読んで分岐点のような一年だったので兄アントワーヌやフォンタナン夫人、ジェンニー、ジェローム、ダニエル、ジゼール……
「生きてきた」姿を見てきたからうまく言えないけどやっぱり長編小説特有の登場人物たちとの長い付き合いって好きだなあ、と。
残り三巻。
十一巻を読んだら後二冊はエピローグみたい。
いまこのタイミングで読めて良かったなあとつくづく思う作品。