yuriのblog

日々のあれこれや、小説・海外ドラマ・ゲームなど、好きなことについてたくさん書いていきます。

サマセット・モーム「人間の絆」上

 

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。

 

「にんげんのきずな(上)」

2021.06.20

 

 


サマセット・モームを読むのは、「月と六ペンス」以来だった。「月と六ペンス」は個人的に、感情さまざま渦巻いた作品で(大雑把に言うと絵を描く為に、すべてを捨て生きる人と、その才能に惚れながらも振り回される人と、等々)思い入れがあった。


今回読んだのは、「人間の絆」。上下巻あるのでゆっくり読めるかと思い、手に取った。

 

長編小説お馴染みの、主人公の幼少期から始まる。

フィリップは、冒頭で母を亡くし、父も亡くしており、叔父叔母夫婦に預けられる。叔父は牧師で生真面目な人。叔母はフィリップ思いの静かな人。

フィリップは片足が不自由で、それがコンプレックスだった。
あるときは一心に、神様に治るよう祈ったけれど叶わない。ということがきっかけの一つにもなり、信仰を疑い、というところからどんどんあゆむ道を変える。絵描きになりたいと飛び出し、紹介された仕事も辞め、そして、これを書いてる今は上巻を読み終えたところだけど、医学の道もなんだか危うい。

で、だからこそそこが読んでいて面白かった所でもある。
フィリップが、ものすごく素晴らしい主人公でないところが、重ね合わせて読むことができた。勉強はできる。絵も上手い。けれど、ものすごい天才ではない。自分の才能の無さを痛感し、挑戦し、痛感しての繰り返しだった。またあるときは、「ミルドレッド」という自由気ままな女性と出会い、もういい加減会わないほうがいい、と分かっていながらも、振り回されまくるのだった……くそやろう!と思いながら、きちんと毎日すたこら会いに行くのだった。

そんなフィリップだが絶えず、ああでもない、こうでもない、と試行錯誤、出口のない迷路をぐるぐる、人生とは、自分は、なにができるだろう、できないだろう……ほんと〜に、人生とはなんぞや!!!若造だろうがなんだろうが言わせてくれ。だけどできることを頑張る。下巻もフィリップを追いかけようと思う。