*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。
「分からないことだらけの人生だけど…」
2019.04.11
子どもの頃、近くのスーパーへお菓子を買いに行ったとき、私がここへ来ることは、最初からぜんぶ決まっていたのではないか、という考えが頭から離れなくなって、動けなくなったことがありました。
「タイタンの妖女」を読みながら、そのときの光景が何度も蘇ってきました。
なぜ、生まれてきたのだろう。なぜ、「絶対に」死ぬのだろう。
いまだにそんなことばかり考えてしまうけれど、物語から、
「でもそうやってみんな繰り返してきたんだよ。理不尽なループを、何度も、何度も」
なんて声がきこえてくるようで、不思議な安心感がありました。
登場人物たちはとにかくあちこちを飛び回ります。飛び回るといっても、飛行機で海外へ行くわけではありません。地球を飛び越えて、火星へ行ったり、かと思えば水星へ行ったり……
正直いってなんのこっちゃ、でした。謎だらけでどういうことやねんって何度も思いました、ていうか最後までよく分からんかった……
でも、同時に思ったこと、
今、生きている世界だってなんのこっちゃ分からんではないか。気付いたら生きていてぜんぜん訳分からんではないか。
この気付いたら生きている、というのはなかなか厄介です。なにしろ、自分でボタンを押したり、用紙を提出したりなんて覚えはないわけだから、やたらと「意味」ばかり考えてしまう。
小説のなかで、主人公たちはとにかく理不尽な目にあいます。記憶はもぎ取られるわ、惑星レベルで吹っ飛ばされるわでもうしつこめのなんのこっちゃです。
でも、そんななかでも芽生える主人公たちの気付きがあったり、たとえ望んでいる運命ではなくとも、部屋にこもりきってかすり傷ひとつ負わず安全圏に居続けるよりは、巻き込まれても、傷付きまくっても、振り返ると思い出多すぎてヤバ……な結末の人生も悪くないよなあと思える、励ましの物語でもあったような気がします。
ぜんぶ最初から決まっているのではないか。大人になったって、そんなのはぜんぜん分からない。
でも見守ってくれてたらいいな。
本のなかのみんなが、こうしてるいまもどこかうえのほうから、にやにや笑いながら、アイツら何してんねんって、見守ってくれてたら、いいのになあ。