yuriのblog

日々のあれこれや、小説・海外ドラマ・ゲームなど、好きなことについてたくさん書いていきます。

ミレーナ・アグス「祖母の手帖」

 

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。

 

 

「読み終わりあらためて良い題だなあと」

2020.02.14

 

 


短めなので、寝るまえにちょうど良いかな、とおもって読んだ。

 

行ったことのない場所がたくさん出てきたので、それから歴史を知らないせいで読みながら分からない言葉もたくさんあったのだけど、それでも、「わたし」の語る祖母の人生が知りたくて読み進めた。
「わたし」目線で語られる祖母の人生は、とても情熱にあふれていて、また、とても「生きていた」という感じで、というのは、生命力に満ちあふれているように見えたからだとおもう。
豊かな黒髪をもち、うつくしかった祖母は、結石の治療で訪れた温泉で、ひとりの帰還兵と出会う。夫が居ながらも、愛を探していた祖母はその帰還兵に一目で心惹かれるのだけれど。
あらすじだけを書いてしまうと、単純なものになってしまうが、読み終わりおもうのは、どんな人間にも、たどってきた、ひとりひとりの時間が、物語があるのだなあということだ。痛みも、辛さも、光も滑稽なことも秘密もぜんぶ含めて。
「わたし」から見れば祖母は、ちいさいころからずっと「祖母」であり。でも、当然ながら祖母にも時代と共に生き抜いてきた過去があったのだということ、それはすべての人に言えることなのだなあとあらためておもっていた。
最後の数ページは、静かに光を放っているようだった。
この本を読めたことで、
想像することに、わたしは、いつだって救われてきたし、きっとこれからもそうなんだろうなっておもえた。短くも、たくさんの時間の詰まった「祖母の手帖」を読みながら。
そして読み終わったいまだからこそ、物語を振り返ると、
「祖母の手帖」、とても良い題だなって読む前よりもおもった。