yuriのblog

日々のあれこれや、小説・海外ドラマ・ゲームなど、好きなことについてたくさん書いていきます。

「壁」安部公房

 

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。

 

「わからないでもおもしろくて読んでしまう」

2020.02.29

 


わからないのに、読むのをやめられなかった。
いや、わからないから、やめられなかったのかもしれない。先に何かがあるような気がして、一気に読んでしまった。

ちょっと笑えてくる所もあった。たとえば、この「壁」の主人公は、名前を失った所から始まるのだけど、病院へ行った際、名前を聞かれて、名前なんかどうするのだと問うて、当然、カルテが必要だからと言われて、ほお、となって、

「カルテ……。」
と名前を告げた時には笑ってしまった。
でも、そこからはどんどん夢の中にも入っていくようであって、しんどくて、だけど一気読み。

現実でうまくやれない時、言葉や、夢(寝る方)の中で生きていたから、本の中に、うわ、同じやなあという箇所を見つけると、なんだかこんな自分でも……と思えて、複雑だけど、綺麗事よりもずっと、安心できるのだった。

途中の、哲学者やらの言い合いも楽しかった。みんな、在るとか無いとか言い合っていて、それから、また、服が動き出して、特に、わたしはネクタイの歌がすきで、

大得意で歌ったのにみんな(他の物たち)から、なんだよそれとか言われてたのも可笑しかった。この服やらの動き出す所はでも、真剣に読んでしまった。だって、例えば出掛けている時とか、あるいは、隣の部屋にある(はずの)けれど見えていない物たちが、動いていないとは、絶対には、言えないように思って、その後にトイ・ストーリーとか観出すと、キエエエ!となるからだった。
とか言い出すと終わらないから終わり。

にしても、実存ってなんだろな。次はこれを読んでみよう、と思って開いてみたらいつも、本は、知らない言葉で溢れているぞ。例えば、さいしょはメタとか観念的とか、テクストとか、あとなんやろ、真理とか、リアリズムとか、写実主義とか、ロマン派とか、なんやねんそれ、と思っていたが、いまは徐々に学び中。旅は終わらなくて楽しいけど、しんどい&楽しいな。

話が逸れた。
後半に行くにつれ、ますます分からなくなっていった。でも言葉では分からないことも多いのだけど、人間が液化してしまったり、あと、絵に吸い込まれていって、涙が浮かんでいたりとか、思い浮かべて、読んでしまっていた。

また読み返して、その時には違った風にも見えたらいいなあ。