yuriのblog

日々のあれこれや、小説・海外ドラマ・ゲームなど、好きなことについてたくさん書いていきます。

村上春樹・柴田元幸「サリンジャー戦記 翻訳夜話 2」

 

 

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章を転載していきます。

 

 

ライ麦畑について、サリンジャーについて、丸々一冊語り合い」

2017.04.27

 


先日遅ればせながら読んだ「ライ麦畑でつかまえて」。

 

 

 

私はこれまで海外の小説をあまり読んでこなかったのと全くといっていいほど知識がないこともあり(笑)、作品が有名なことや、青春小説と位置付けられていることも知らないままぶっ通しで読んだのでした。

 

 

選んだのはたまたま野崎孝訳の「ライ麦畑でつかまえて」の方で、村上春樹訳「キャッチャー・イン・ザ・ライ」は未読なのですが、読後興奮がおさまらなかったこともあり、「村上・柴田【キャッチャー・イン・ザ・ライ】を語り尽くす」と書かれた本書を手に取らずにはいられませんでした。

 

 

とはいえ、普段小説を読んだあとに誰かの感想や考察などを読むのはあまり好きではなく。それは読むこと自体を好まないというよりは自分のもった感情を左右されたくないこと、また必ずしもカテゴライズする必要は無いと思っているからで。

 

 

けれど、にも関わらず本書を楽しく読んだのは、そんなことはお構いなしに興奮を処理したかったからなのかもしれません。刺さりまくった……! などと思うには、少し……いや、なかなか年齢を重ねすぎてしまっているのですが(笑)。

 

 

けれど、無知な自分に感謝した面もあります。というのも、全く何も知らずに読んだこともあって、先入観を持たずに楽しめたからです。きっと先に情報を得ていたら、固定概念ガチガチの私は素直に読めなかっただろうから。

 

 

 

で、肝心の本書ですが。いやー、とても楽しかった。作品はもちろんのこと、ホールデン・コールフィールドという人物について、サリンジャーという作家自身について丸々一冊熱く熱く語られていて、行き場をなくしていた興奮も落ち着きを取り戻しました(笑)。

 

 

サリンジャー自身「ライ麦畑でつかまえて」を書いたことにより人生が一変したこと、晩年はほとんど姿を見せなかったこと、殺人犯が愛読していたこと……。知れば知るほどいろいろな意味で心を掴んで離さない作品だなあ。なんてしみじみすると共に、村上春樹訳の方も早く読みたくてウズウズ……!

 

 

 

それにしても興味深い本だったな。頭のいいお二人の客観的な対談を読んでいたら、自分自身が見透かされているみたいで自意識が崩壊しそうでした(笑)。(近いうちにサリンジャー制覇するぞー!)