yuriのblog

日々のあれこれや、小説・海外ドラマ・ゲームなど、好きなことについてたくさん書いていきます。

ポール・オースター「冬の日誌」

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。

 

 

「孤独からのお便り」

2019.11.25

 

 

めちゃくちゃおもしろかった。ポール・オースターのエッセイなのか小説なのか解説にはノンフィクションとあったけれども、まあジャンルはなんだって良いのだとおもえるような贅沢なひとりの人間のからだの記録。

おもえば海外文学を好んで読むようになったのは作者の小説との出会いがめちゃくちゃ大きかったなとおもう。先日も、はじめて手に取った「鍵のかかった部屋」を読み返していたのだけど、物語の面白さもそうだし、とんでもない孤独から書かれてるなあというのもそうだし、じぶんとは他人とはの境目をあんなに考えられた本もないなあとおもったし、そんなような思い出がいっしょに読みながら蘇ってくる点でも、いまだに大切な1冊。

 

そして「冬の日誌」。
読んでいて、あ、この場面はそういえば小説にも出てきたなあとちいさく興奮してしまったりもした。「孤独の発明」もだいすきな作品なので、書かれていた時期のことが読めてだからあんなとてつもない作品がうまれたのだなあと妙にしんみりしてしまったりなど、

それから、思春期の回想は外出先で読んでいたので何度も吹き出しそうになりながらひたすらニヤニヤしながらの1行、また1行でちょっとどうしようかとおもった。あわてて退散したわ。いまから笑かすでえ〜ってな風に書かれていたら透けてみえてしまって笑えないようなことも(わたしよくやってしまう)、めちゃくちゃ真剣に回想して “そのひとのふつう” が文になっているだけでそれがユーモアになってものすごく笑えるのだなあと改めて。

目の前で当然雷に打たれるのを見たことや、突然の死や、怪我、発作、出会い、別れ、匂い、手触り、喧嘩、などわたしたちは自らの手でその都度の選択をしているようであっても、研ぎ澄まして回想してみればほとんどのことは偶然によって成り立っている面も多い。そのなかで、だからといってじぶんではどうしようもないのやと諦めるのではなく、それでも、と、書いて書いて書いてきた作者のからだの記録。きのう、数年まえ、生まれたてのころからずっとおなじからだのおなじじぶんとして立っているようであっても、書かれていたように膝とか目とか一部だけ見たってじぶんだとわかるわけでもないし、からだって不思議やなあ。読み終わってもなんでこんなおもろいねんと考えていたれどもぜんぜん、わからなかった。
「内面からの報告書」もはよ読みたい!