*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。
「まっしろに色を足す努力」
2016.11.25
生きるのがしんどい、そう思う時期というのはある。
何か特別辛いことがあったわけではない。
ただ過ぎゆく毎日が、ひどくつまらないものに思えて仕方ないとき。
それでも当たり前だが、生きていかなければならない。そして、ただ息をするだけでは生きられない。
お金を稼ぎ、無くなったトイレットペーパーを足し、風呂を洗い面倒な化粧をする。
そうやって歯車を回さなければならない。
あるとき、本当に突然そんなロボットのような自分に飽きてしまう。
人目を伺うことも、傷つけられることはないが何も得られない逃げ腰にもとことん飽きてしまう。
本書「そして生活はつづく」では、何気ない日常を楽しむ気持ちが伺える。
それはなにも完璧に生活をこなそうとするわけではない。
むしろ作者は携帯電話の支払いをすぐに忘れてしまうほど面倒くさがりだし、お腹はすぐに下すし確定申告はなかなかやらないし、筆算のやりかたも忘れている。
けれど、このエッセイではそんな日々を楽しもうとしている。ような気がする。
楽しんでいるというより楽しもうと。
だからウンコの話も下ネタもキンタマエピソードも刺さる。
それはなぜか。ウンコも下ネタも生活だからだ。
エッセイに書かれていたように大統領だってイケメンの俳優だってアイドルだって、家に帰れば生活があってウンコをする。
ステータスや容姿など、表面的なことばかりにとらわれていたら、劣等感や自意識で日々はつまらなくなってしまうけれど、本来人はひとりだということをきちんと分かっていれば、まっしろに色をつけていくこともできるかもしれない。
そしてそうやってつけていく色付けはきっと楽しいはずだ。
毎日は面白いことばかりじゃない。もう消えてしまいたいと思うことだってある。けれどそのなかで一色でも自分の色をみつけられたら。ほんの少しずつ変わっていくのかもしれない。
そうやって格好つけて書いた今日だって、「そして生活はつづく」のだから。