*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。
「そういうふうにできている、たくさんのものたち」
2016.11.11
エッセイといえば、さくらももこさんを挙げる人はとても多いと思います。
「ちびまる子ちゃん」でおなじみですが、エッセイ「もものかんづめ」シリーズはミリオンセラーを記録するほど、ユーモアセンスあふれ出る言葉は、笑いをこらえきれません。
妊娠発覚から出産までが綴られた「そういうふうにできている」。
私自身ちびまる子ちゃんが大好きな子どもだったのと、出産が身近に感じたこともあって、15年以上昔の作品ですが「私と同じ年代のころ、さくらももこさんはどんなふうに感じていたんだろう」と手に取っていました。
読んでみるとずいぶん時間が経っていることは感じず、とても自然に心に入ってきました。
本書は、妊娠が発覚してから出産に至るまでの間におきたマタニティーブルーや、情緒不安定のこと、帝王切開での出産や名前をつけるときの様子が書かれています。
その間にも様々な事件が起こるのですが、中でも私がゲラゲラ笑ったのが「便秘」の章。
便秘は日常的なものですが、そんなささいなことも抱腹絶倒のエピソードに生まれ変わるから笑ってしまいました。
どうしてここまで苦しまれたかというと、妊娠初期、ひどい便秘に襲われたからなのですが、新しい命が宿っていることもあり、ふだん快便の作者は100パーセントの力で力めない。
そこで、丸々一章便秘の戦いが繰り広げられるのでした。
それから、妊娠中は女性ホルモンのバランスが崩れるため情緒不安定になりますが、号泣しながら乗り越えようとする姿は、過去の話とはいえ、エールを送っていました。
妊娠に限らず、普段の生活で女性の体特有の思い当たるところが多々あったし、終盤では帝王切開のシーンもあり、初めての出産に戸惑いながらも、臨死体験のように感じたことなどが、鮮明につづられています。
地球上では、この文章を書いている間もどんどん命は生まれていますが、母親からすればひとりひとりが初めてのことであり、様々な感情に戸惑うのは当然だよなあと思いました。
泣きたくない日にホルモンバランスが崩れて情緒不安定になってしまうこともある。
タイトル「そういうふうにできている」は、そんな意味もこめられているそうです。
まだ出産を経験したことはありませんが、女性の身体や命の誕生、たくさんの「そういうふうにできている」ことに神秘を感じずにはいられませんでした。
今では大きくなっているであろうお子さん。初めての数々に遡って出会えたことが嬉しかったです。