yuriのblog

日々のあれこれや、小説・海外ドラマ・ゲームなど、好きなことについてたくさん書いていきます。

「太陽がもったいない」山崎ナオコーラ

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。

 

 

 

 

「植物のこと、命のこと、生きること」

2017.05.07

 

 

 


自宅のベランダを使って植物を育てる。

 

「太陽がもったいない」という作品を通し、覗いた。

 

 

本書のテーマである「園芸」については、知らなかったし、難しい専門用語はすんなり入ってこないが、ベランダの小さな世界は一方で、壮大だった。

 

 

「間引き」を初めて知った。

 

 

密集しすぎた植物に対し、数を減らして「生かす」そうだ。

 

見たところ区別のないものを手で選択し、生と死を分ける。

 

のちにグングン成長する陰には、選択された死があり、園芸に凝る人は残酷な面も必要、という内容に感じ入った。

 

 

震災前後に書かれていたということもあり、節電が叫ばれていた中、著者は「緑のカーテン」を作る。

 

 

壁に這うように作られる緑のカーテンは、部屋の温度を涼しくさせる効果があり、作り始めはうまくいかないところもあるなか、徐々に改良されていく経過は面白い。

 

 

 

人間の、特に都会に住む人々にとって時間はせわしなく過ぎるけれど、植物にとっての時間軸は全く違う、という内容にもしみじみしてしまった。

 

 

しばらく園芸の話が続き、後半は当時の心境、文学に対する夢……。

 

 

揺れながらも自分を強くもつ、一冊、もう一冊と踏ん張って作品を発表される姿はやっぱりかっこいい。