*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。
「チヅル、どんな大人になったかな」
2019.05.18
図書館の書庫から出してきてもらった一冊。
発行は、1991年となっているけれど、いま読んでもすごく楽しめて、主人公のチヅルがかわいらしくて、なつかしい気持ちになる一冊だった。
家にあたらしい電化製品がくるとわくわくするチヅル。
石油ストーブがきたひの朝は、母清子はじめ家のなかはてんやわんや。
主人公のチヅルは小学校四年生で北海道に住んでいる。
おてんばで、でも周りをよく観察しているチヅル。
「いもうと物語」とあるとおり次女のチヅルは、お姉ちゃんが大好きで、お姉ちゃんに秘密にされるとかなしくてさみしい。お姉ちゃんの友だちが家にくると気になるし、私も次女でお姉ちゃん大好きっ子だったので、お姉ちゃんの友だちの誕生日会にまでついて行ってよく分からない空気にしてしまったことなんかを思い出しながら読んだ。
あたらしい担任の先生におびえたり、大人たちのやりとりに不穏な気配を感じたり、それから、やさしいおじいちゃんのこと、とつぜんやってきた転校生、秘密ね、といって子猫をみせてくれた友だち……などなど、チヅルの心は日々あらゆる気持ちであふれんばかりだ。
戸惑って、ちょっぴり泣きたいようなひもあれば、興味の対象はかわって、さっと気持ちが晴れることもある。
あたらしい服に袖を通す瞬間、いよいよ積もってゆく窓外の雪景色、そんな、忙しいチヅルの心のなかを覗いているとなつかしくて、本を閉じても、チヅル、どんな大人になったかなあ、中学は、高校はどんな時間を過ごしただろう、なんてしみじみ考えてしまった。