yuriのblog

日々のあれこれや、小説・海外ドラマ・ゲームなど、好きなことについてたくさん書いていきます。

「自虐蒲団」小池昌代

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。

 

 

「言葉と過ごす人たち」

2020.01.10

 


ふと何気なく、「自虐蒲団」という題に目が止まって、手に取った小説。

いくつかの短編がおさめられていて、そのどれもが言葉に関係している人たちのお話です。
詩人であったお父さんのことを僕が、語るお話。それからまた、詩に取り憑かれてほかのことは目に入らない女の話、奇妙な読書会、腹話術師のお話にコピーライターのお話。

言葉には良い面も悪い面もあるように、言葉と過ごすうちに言葉にのみこまれていって苦しそうな登場人物もいます。でも、どうにもやめられないのは言葉の持つ力が良い意味でも悪い意味でも強大だからでそれから、漢字と平仮名のバランスとリズムとで、一気に最後まで、はじめの「醜い父の歌う子守唄」というのがいちばん心に残ったかな。作者の詩集のほうも読んでみたくなった。

お散歩して、何気なく手に取ったお話を読むのは家には無い本を選ぶ、ということだから偶然誰かに会えたみたいで不思議な感じがした。また、この本の中にも詩集が出てきたり、本棚を見る場面が出てきたりで、どんどん、わたしもあたらしい本に出会っていきたいな、なんて思った。