*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。
「レミちゃんに聞いてみたい」
2021.01.03
この間「チボー家の人々」を読み終えた。
きっかけは、「すみれ」【著者: 青山七恵】だった。
「すみれ」の中に出てくるレミちゃんが、図書館から借りてくるのだ。主人公である藍子と一緒に読む。あっという間に、レミちゃんは読み終えてしまう。
それで、どんな本か気になっていたのだった。
他にも、例えば「西遊記」も「ドン・キホーテ」も「竜馬がゆく」も出てきたけれども「チボー家の人々」が記憶に残っていた。
だから、
最初は単なる興味本位だったけどそういえばこの本だったなあと手に取ったけど気付いたら一気読みだった。
それはものすごく面白い、とはちょっと違っていた。好み、とも違っている、なんなら遠い、でもなんかすごく「なにか」が書かれていて……というかそういうのに限ってとても読んでいるとくるしい、いとおしい憧れたり嫌になったりする忙しい。そして読んでいる間はそういえば「すみれ」のことは忘れていた。レミちゃんが一気に読んだ本だった、ということは。
だけど読み終わっていま、
改めてこんどはきょう「すみれ」を読み返し、
レミちゃんいったいどんなふうに読んだだろうと考えると気になるし一緒に話してみたい。
レミちゃんはジャックを、アントワーヌをまたはジェンニーをどう思っただろうか?
わたしのようにとちゅう、分からなくなったりした?
それとも大学時代は才気走っていたレミちゃんだったからわからない、と言ったら呆れられるかもしれない。
ジャックの最後については?
アントワーヌの生き方は?ジャックがアントワーヌにかける言葉は?ジェンニーに憧れた?じぶんが嫌になった?
どの巻のどのあたりに夢中になっただろう。
どの言葉に。どの間違いに?
どの正しさに揺さぶられただろう。
でも。藍子にどう思ったかと問われた際レミちゃんは長かった、と答えていたからそれはもちろん言葉通りの意味だけでなく中に色々がつまっていて“どう思ったか”など超えてゆく思いがあったかもしれない。だったら……やっぱり朝まで聞いてみたい。
レミちゃんはさいご藍子に今までもこれからも、本当の友達はあんただけだって言う。けどわたしにとってはこの本こそが、あらゆる言葉から帰ってこられる場所です。