yuriのblog

日々のあれこれや、小説・海外ドラマ・ゲームなど、好きなことについてたくさん書いていきます。

ヘルマン・ヘッセ「少年の日の思い出 ヘッセ青春小説集」

 

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。

 

「失敗も変化も共に」

2020.01.27

 

 


「少年の日の思い出」を読んだ。

 

長く、中学の教科書に掲載されてきた、とあったけれど、自分の教科書ではどうだったか、まったく覚えが無い。

蝶や蛾の採集にむちゅうになっていた「ぼく」は、自分の持っていなかった貴重な「クジャクヤママユ」を友人が蛹から羽化させたという噂を聞く。
その、「クジャクヤママユ」を見に行った「ぼく」は……。

短い作品だけれども、「ぼく」の過ちは犯してしまった以上、無しには出来ないのだという気持ちが伝わってきた。
様々なことに気づき始め、知っていく「少年の日の思い出」が読んでいるとこれは、必ずしも少年のことだけでなく今にも、それからこれからにも通ずることだと気付く。
生きている以上、失敗もある。でも、あった以上無しにはならないから悔やみながらも受け入れていくしかない。

他にも以前読んだ「ラテン語学校生」それから、「美しきかな青春」も入っており特に「美しきかな青春」のラストはすきなのでくりかえし読んだ--終わりがあるからこその美しさが切なくも浮かんでくる情景で読んでしまう。

 

また、もうひとつはじめて読んだのが「大旋風」。
「私」の心の変化の物語。無邪気だったあの頃を懐かしくおもい、けれどもう、あの頃とまったく同じには戻れないのだと、次へと進んで行くのだという「私」の決意と哀しみとが、大旋風による町の変わってしまった様子や、自分に思いを寄せてくれている女の子との葛藤と一緒になって、特に最後の数行は大切に読んだ。

作者の、
初期と、そうでない作品とでは明らかに雰囲気が異なっており(まだ全ては読めていないが)、そのことからも「少年の日の思い出」にあるように、その時々で人生に変化はつきものだけれども、今と同じように今だったものとして、それらも受け入れて、共に、歩いて行くしかないのだという気持ちに改めてなれた。

そういえば、翻訳されたのは先日読んだばかりの本の方だと気付いた。
全集もあるようなので、単行本・文庫本になっているのを読み終えたら、読もうと決めている。
今からとてもたのしみである。