yuriのblog

日々のあれこれや、小説・海外ドラマ・ゲームなど、好きなことについてたくさん書いていきます。

「詩ふたつ 花を持って、会いにゆく 人生は森の中の一日」著者: Klimt Gustav/長田 弘

 

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。

 

「心やわらかになるいつまでも、手元に置いておきたい一冊 」

 2020.01.15

 

この本は図書館で借りたのですが、声に出して読み終えた後、買うと決めました。それぐらい、手元に置いておきたい一冊になりました。
「詩ふたつ」には、その名の通り、「花を持って、会いにゆく」と、「人生は森のなかの一日」というふたつの詩がおさめられています。
大切な人との別れ、静かにただ在る森の中の景色。
ゆっくりと、声に出して読みましたが、読んだ後、後書きにも、ゆっくりと声に出して読んでくださいとあったのでもう一度読みました。
別れの痛みそのままを、抱えたままで良いのだと思えました。
それからまた、詩と共に載せられている絵が、繊細で、終わりなく奥まで続いていきそうで、いつまでも見ていたい気持ちになります。グスタフ・クリムトという画家は知りませんでしたが、花の絵も、森の絵も、詩の呼吸と合わさって、読者の思い出と共に読めたり、世界観に浸れたり、詩だけでも、絵だけを見てもどこから開いても……。
ページ数は多くはないですが、何度でも、いつまでも味わえる作品だなと思いました。
好きな言葉がたくさんありましたが、誰にでも分かる言葉で、何重にも広がる言葉の世界でした。
詩は長らく自分にとっては、読むより書くものでしたが、ある一冊の詩集を読んだことで、まっすぐな、けれども深い余韻のある言葉の連なりに触れて、もっと手に取りたいと思うようになりました。
日々の中で、意味や、考え事に重きを置き過ぎて、凝り固まった心を、詩は、分解して、やわらかにしてくれるなあと思いました。また、ふとした瞬間に、ぽっと、突然に、読んだ言葉の断片が浮かぶことがあって、そういう時に、塗り絵みたいに、なんてことない一瞬の、些細な、けれども心強い色付けをしてくれるなあ、とも。
だから、物語も、詩も、どちらも良いな、どちらも素敵だなあと思いました。