yuriのblog

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「幸いなるかな本を読む人 詩集」著者: 長田 弘

 

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。

 

 

「本をめぐる詩集を、開いて読む」
  
 2020.01.15

 

先日読んだ「深呼吸の必要」から、作者の他の本も読みたくなって。
「幸いなるかな本を読む人」の中には、いくつかの本が出てくる。本が、かつて読んだ物語の中の光景が、歩く景色と混じり合って、空と混じり合って、ぽとんと落とされていて、それを読む。出てくる本は、読んだことのないものばかりだったが、カフカや、梶井基次郎や、夏目漱石や、ニーチェなど、いろいろな本たち。
中でも、「水の中のわたし」という詩が好きだった。泉の中に映る姿を見つめて、美しいと感じる少年の詩。その姿に抱きつこうとしても、すくうことはできない。少年が見ていたものは、自分と共にあるものだったから。
生きること、死んでゆくこと。
ただじっと在る空や、木や。
それらの作品を読んでいると、昨日読んだヘッセの言葉が書かれていた本に人は、時間と結婚したのだ(思い出して書いているのでそのままの言葉ではないけれど)というのがあったのを思い出した。
それからまた、孤独とは解決するものでなく、じっと孤独そのものを見ることなのだな、というのも改めて、この詩集を読んで思った。
平和についても、書かれていた。
「人生に一本の薔薇を」という詩も好きだった。静かに、死んでいったひとりの女の話。みんなからは「かわいそうな人」と言われていたけれども。でも、この詩を読めば、彼女の生きた足跡が見えた気がした。居た、ということが見えた気がした。