yuriのblog

日々のあれこれや、小説・海外ドラマ・ゲームなど、好きなことについてたくさん書いていきます。

①「すみれの花の砂糖づけ」著者: 江國 香織②「私の目にはじめてあふれる獣の涙。」著者: 石垣 りん ③「中原中也全詩集」著者: 中原中也

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。

 

「夜中枕元から短くて力強い声たち」

2019.11.27

 


いつも枕元には積まれた本があるのだけどそのなかの小説たちは日ごとに週ごとに入れかわる。またおなじのが戻ってくることもあるし、まんなかに文庫本、うえに単行本など乗せているとバランスが崩れて倒れてきてそれで「あ、そやったこの本読みたいんやった」とこんにちはし直すこともある。でも、詩は、なかなか入れかわらない。なんでかなーとおもうけど、いつまでたっても読み終わった感がないからなのかも。

 

 

① 「すみれの花の砂糖づけ」著者: 江國 香織

 

江國香織さんの小説はわたしはまだ、数多くは読めていない。だけど、この詩集は繰り返し読んでいる。どこからひらいてもちょっと寂しくなったり過去に戻れたり愛おしくなったりもする。1つひとつの詩は短いのに、力強く、さみしんぼで、おこりんぼでかわいらしくて何度でもひらきたくなってしまう。子どもとか大人とかのどの地点にも居ないような、でも間違いなく瞬間はあったんだというような。
きっとこれからも枕元で小説の合間などに読んで、ぼんやり考え込むのでもなくページのことばをいつまでも飽くことなく眺めてしまうんだろうなあ。

 

 

②「私の目にはじめてあふれる獣の涙。」著者: 石垣 りん

 

それから、こちらはある日唐突に何の気なく本棚から抜き取った本。わたしは詩のことは詳しくないのでいつも適当に取ってぱらぱらめくって、あ、良いな、これ、とおもうと本屋で買ったり図書館で借りてきたりしている。でも、詩集は、読んでもやっぱり読み終わった感がぜんぜんないので感想は書かずじまいになる。数日経ってまたひらいたら強さに慄いてしまうのだった。

作者の詩は、目ん玉を1行いちぎょうにがっしり向けたらちょっと怯えてしまうところがある。じぶんの駄目さ加減とか、弱さ狡さがわらわら立ち現れてくるような気がするのだけど、でも同時によっしゃやるで!という力も湧いてきて、気付けばいくつかの詩が心に残っていた。小説は、再読したいのがまだまだあるなあとおもいつつもいつも、これも読みたいしあれも読みたいし、ってな具合にどんどん手を伸ばしてしまうところがあるのだけど、詩にはがっしり掴まれてる感があるなあ。というのは、選んだ本にもよるのかもしれないけれど、この詩集のなかには、仕事のこと、戦争のこと、ジェンダーのこと、家族のこと、兄弟のこと、色々が詰まっていて短文なのにしんみりとしたきもちになれた1冊だったから。まだ次に行けそうにもない。その時々の苦労や哀しさや決意やいろんなものが詰まっていた。生きてきた証のような。やっぱり強い、ものすごく強いそしてそのなかにも何重にもきもちがつまっていた1冊。

 

③「中原中也全詩集」著者: 中原中也

 

さいご、作者の詩はほとんど読んだことがなかったのだった。

読むきっかけになったのは作者がどんな人生を生きてきたのかを動画でみる機会があったから。なんて、そんなみかたは間違っているのかもしれないのだけどわたしは、知らないでいたころよりも俄然彼の詩が突き刺さってくるようになって夜中ねむれなくなってひたすらぼーっとしてしまっていた。わたしは小説がだいすきで、もちろん比べるものでもないのだけれども、たとえば小説ではAさんに会うまでにAさんに会うまでの道のりやきもちや過去やなんやかんや休憩、というのではないけど盛り上がりとそこに行き着くまでの過程のような部分も多いので、そこからぐわあっとサビにのみこまれていって(もちろん小説による)、なんて具合をいつもたのしんでいる。一方とにかく詩は強いので(もちろん詩による)感情がえんぴつの先っちょみたいになってほとほと疲れ果ててしまうからわたしは、読んだ数は少ないがものすごく気になってしまうのかなあとおもうのだった。