yuriのblog

日々のあれこれや、小説・海外ドラマ・ゲームなど、好きなことについてたくさん書いていきます。

「ひとり日和」著者: 青山 七恵

 

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。

 

「ほんとの気持ち」

2019.08.16

 


すぐにカッとなって、のぼせ上がって生きて行こう!とかこれからも頑張って行こう!とか思う。
マヂで拳突き上げる勢いで。
学校のスローガンみたいで振り返ると笑える。
別に悪いことではないんだろうけど。
妙に言い聞かせてる気もしてもうちょっと俯瞰で見れたらなあ、なんて思うこともある。

ほんとの気持ち。
結構残酷なこと、思ったりしているのに、なんで自分の前でも良い格好したくなるのかな。それを見ているのも自分だからなのかなあ。

 

 

「ひとり日和」の会話文が好き。
脱力してて、誰も気取ってなくて信じられる。

「わたし」はお婆ちゃんほど歳の離れた吟子さんと暮らすことになる。
アルバイトをしている。春が嫌い。吟子さんの寝室に時々忍び込む。いくつか物を失敬する。吟子さんは何を考えているんだろうと思う。
またアルバイトへ行って、ちょっと恋なんかして、けれどやっぱりやってくる別れ。アルバイトを変えて、あたらしい景色と出会うけど「今」もどうせすぐになくなるんだろう。

というような「わたし」の心を覗く。
素直で青々しいからものすごく羨ましくなった。
生きて行こう!も頑張ろう!も嘘じゃないけど。
それだけで出来てるわけじゃないからわたしもいろんな気持ちが見たいなあ。ないことにしたくないなあ。

想像の中の今の「わたし」は、
ずっと遠くにいて、吟子さんとの思い出なんか年に一度も振り返らないかもしれない。でもだからといってそれが無かったことにはならないから、人は変わるのだから、そのことは本当に残酷でもあるけど、でも変わった先にしか見られないものがきっと、あるから、
変わる。
のを恐れたくない。

なんてことない景色と、なんてことない気持ちはけれど「小さな」ことではないのだ。
たとえば風呂の散らかり具合も、コンビニの店員さんもぐーんとズームしてみたらすっごく楽しいな、というこれもほんとの気持ちで、声に出して読みたくなるし、たくさん考えてしまう。

「、」の位置まで息づいていた。
やっぱり作者の物語が好きやなあ。
なんて相変わらずうっとりしてきた自分がいるけど、まあ、これも自分やからいいや。