*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。
「田園交響楽に続き」
2020.06.13
以前読んだ「田園交響楽」の後書きに、「狭き門」のことが書かれていて、それで読んでみたいと思っていました。
文章がきれいで一気に読み終えてしまいました。
そして読み終えた今は、この小説に出てくるアリサのことを考えています。
アリサとは主人公が愛する相手です。
そのアリサもまた主人公ジェロームを愛し、純粋なふたりなのですが単に愛の話でなく生きることそのものとしてわたしは読みました。
というのもジェロームとアリサとがじっさいに会っている場面はあるものの、ジェロームの語りとそれからアリサからの手紙が挟まれており、それぞれの揺らぎが見えるからです。
読んでいてわたしはアリサの手紙は会っているときより言葉があふれているように見えました。
なんなら書くことで満たされているようにも。
アリサには信仰があってそれは過去の傷とも関係しており、ジェロームとの関係を綺麗なまま心にとじこめておきたいように見えました。
なぜならアリサは葛藤していたのでした。
じぶんの信ずるもの(神)とジェローム(現世)との間で。
なのできっと頭の中で多くの時間を過ごしたと思うとしんどかったろうな、とかいやそれも安易な考えか、とか思っていました。
それから関係ないですがちょっと前の自分だったらもっとかじりつくように読んだかもと思いました。
というのは頭の中(だけ)で生きていたので考えているつもりでわたしの場合は言葉にすがっていたのです。
でも変わりたいのも読んだからこその気付きと感じました。