*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。
「シャーロット・ルーカス」
2020.11.08
以前はべつの翻訳で読んだけれどふんいきが、また違っているからたのしい。
ちくま文庫のは、読み始めるとつぎの行、つぎの行へと連れてかれる力のようなのがあってその勢いにのるとどんどん読める。
それで気付くと日常のいろいろなことからとおくなって、すっぽり入りこんでるじぶんがいるのだ。
様々な人が登場するので、読むときによって注目している人も変わっている。
今回はシャーロット・ルーカスだった。
シャーロット・ルーカスは上巻でミスター・コリンズと結婚する。
ミスター・コリンズはわたしは、
はじめて「高慢と偏見」(自負と偏見)を読んだ際にはこの愛すべき喜劇的人物に忘れられないインパクトをもらった。
シャーロットはそんなミスター・コリンズとあっという間に結婚を決める。
そんなシャーロットに対し親友の、
主人公エリザベスは「なんでシャーロット、まじでミスター・コリンズなんかと」とおもわず叫んでしまうのだった。
そういえば以前本と、映画とたのしんだ「ジェイン・オースティンの読書会」でも話題になっていた。
まったくわからない人もいたし、わかる人もいたし、というように記憶しているけれど、わたしはシャーロットの選択はシャーロットから見るしあわせといったら言葉がおおきいけれど、考えている価値観のようなのがあるから、
どう捉えるかは人により変わり、
じっさいエリザベスは必死で祝おうとするもののシャーロットに対しなにか溝のようなものができてしまい、とはいえこの気持ちもこの小説は主人公エリザベスから見た視点なのだから当然、ほんとうはおもてに出てこない心の内が書かれることにより、見えているだけだ。
しかし、おもしろいのは活発で、快活で、知的で、おもっていることはすぐ声に出し、ユーモアにあふれているエリザベス自身も後の展開でわかるようにある“おもいちがい”をしている。
下巻の作者の年譜で書かれていたけれどこの小説の原型は「第一印象」という題だそうでその名のとおり、エリザベスは出会ったばかりのころ高慢でえらそうで人を見下しているあのダーシーってやつなんやねん! とおもっていた(反対に後になかなかひどいやつだとわかる人物のことはなんて素敵なの、とおもっていた、でもそんなものだよなあ)。
しかし、話がすすむにつれあれ、
確かにダーシーってやつえらそうなとこあるけれどなんか……ちょっと別の面もあるかもな……どころかまったくむかしとは印象ひっくり返ってる……となる。
このことからもわたしはミスター・コリンズにもいろんな、
ほかの見えていない部分があるはずだろうし例えば海外ドラマなんかでヒット後、スピンオフというのがあるけれど脇役だった登場人物が主人公になると途端見えかたが変わったりしてスピンオフ「ミスター・コリンズの日常 ◡̈ 」が見たいなあ。
それになによりこれからまた、変わってゆくだろうし。登場人物たちは。なぜなら小説は「とちゅう」を描いているから。エリザベスやダーシーが後半では、変わっていったように。
燃え上がってひっついた同士が長くは続かないことがあるようにシャーロットの安定を求める気もちは(もちろん時代のこともある)
時に生きていくことは、ずるがしこさも誰の心にもあって当然だろうし、わたしはシャーロットのことは責められん。
と、つい主人公そっちのけで語りたくなるのはやっぱり脇役が光っているからでだからこそ、物語そのものもたのしめるのだろうなあ。
長くなりすぎるのでいったんここでおわり。
ほかにも、
ほとんど登場しない脇役のだいすきなメアリーについても書きたい(笑)。