yuriのblog

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中野 康司「ジェイン・オースティンの言葉」

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。

 

 

「オースティンにはいつも励まされる」

2021.07.11

 


オースティンの作品をすべて読んだら、読みたいと思っていた本があった。それがこの「ジェイン・オースティンの言葉」なのだけれど、もう一つ読みたいと思っていた本があり、

こちらを読んだことですっかり今まで忘れていた。(「ジェイン・オースティンの読書会」は映画も観て、なかなか楽しめた。この映画の中のオースティンの読書会行ってみたいなあ〜)

それで、「ジェイン・オースティンの言葉」を手に取って、なんだか懐かしくて、オースティンの小説に出てくる言葉を、紹介したものなのだけど、また再び登場人物たちに会えたようで胸いっぱい。&笑える。

そうなのだ。オースティンの小説ってほんとうに面白い。
「笑い」が好きだったって、改めていつも思い出させてくれる。
どの登場人物にも愛が溢れていて、なおかつ、人間の滑稽なところを描き、笑えるって実はとてもギリギリの所を描いていて、すごいなと思う。一見、とてもシンプルな文章でどの作品も書かれてるから、軽いようにも見えるかもしれないけど(すらすらと読める点で)、奥が深くて、読み返すと違う発見ができるから。

私は、人間の完璧ではいられないところが、おかしなところが、それからどうしようもないところが好きだ。
馬鹿にしてるのでなく自分も、どうしようもない人間だと理解してる人や、それからそこを愛し(人間のおかしみを)笑いやユーモアを愛さずにはいられない人々には、きっとオースティンの小説ってしみじみ刺さる。時には自分と重ね合わせ、また時にはお空からじっと見られてる気になり、くだらないことで悩んでいた自分、感傷的過ぎた自分、笑いを忘れていた自分を丸裸にされる。げっ、と思ったと同時に、すっきりする。こんな感じだけど、まあ、生きていこうか、という風に肩の力が抜けるというか。

同窓会じゃないけど、一時期オースティンの作品を続けて一気読みしたから、ここで紹介される言葉や、人物描写に「そうだった〜懐かしや、ああ、また読み返したい」となんども思った。

何人か挙げると、お世辞ばかり言う「コリンズ牧師」。--【高慢と偏見】の登場人物

はじめて読んだときはすごい笑ったなあ。確か、オースティンの小説を読んで最初の頃に、出会った喜劇的人物だったから。
とにかくお世辞を言わせたらピカイチで、長ったらしい台詞が出てくると笑ってしまうのだった。

からの、「マリアン」。--【分別と多感】の登場人物

このマリアンはとにかく感情と想像の人で、それだけ聞くとぴんとこないけれども、読者として眺めてると騒がしい(笑)。毎日劇場で暮らしてるみたいだ。それを冷静に眺める理性の人がいるからこそいっそう際立つので、ジェットコースターのような嵐のような感情の変化に、それを書く作者の冷静な眼差しに、ヒリヒリしたなあ。

からの、「メアリー」。--【高慢と偏見】の登場人物

この子は、一瞬しか出てこないけど強烈なパンチをお見舞いされた。というのも、メアリーは、歌とか、ピアノとか、人前で披露することにかけてものすごく努力するけれど、とにかく気取りがあるので見てる方が恥ずかしくなるのだった。その気負いが伝わってきて。あー、こういうことってあるよなあと、メアリーの姿を見て分かるで〜〜と思って、「もういいから、はい、やめ」と途中で強制終了されたとき胸が、胸が痛かった〜。でも愛すべき人物。できれば気取りなんてなく生きたいけど、大きく見せようとしてしまうことって、格好良く見せたいことってあるよね。

からのからの、「ウッドハウス氏」。--【エマ】の登場人物

この人物にはかなり笑った。健康オタクで、おかゆばっかり人に勧めるし、平和主義で、環境の変化が苦手。ケーキなんてあり得ない。心配性が過ぎる。みんなにじっとしていてほしい。平和でいてほしい。おかゆがおすすめ(笑)。

で、これらの人物が、その側面だけでない、
もちろんのこと別の登場人物たちとも関わり合う中でのことだから、絡まり合って、そこで起こる会話とか、空気とかが、好きなんだよなあ。時にはそんなふうに行きすぎた感情や言葉も、助けられる人が、場面があったりして。何人もが集まって行われた「素人芝居」なんかもその例で、いろんな性格の人がいて楽しかったシーンだった。

あー。また会いたい。みんなに。
どれから読み返そうかな?