yuriのblog

日々のあれこれや、小説・海外ドラマ・ゲームなど、好きなことについてたくさん書いていきます。

「マチルダは小さな大天才」ロアルド・ダール

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。

 

 

「考える日記」

2020.03.09

 

「マチルダは小さな大天才」を読みました。

ロアルド・ダールの作品は、
小さい頃読んだ「チョコレート工場の秘密」に思い出があって。
それで「マチルダは小さな大天才」も読んでみたいと思ったのでした。

読み始めるとわたしは主人公マチルダに惹かれていきました。
なんといってもマチルダは“小さな” なんて言葉は関係なくパワフルで、賢い子どもだったから。

チルダの家には本はなかったけれど、図書館に通い始めたマチルダはなんと図書館の子ども向けの本は読み終えてしまって、親切な司書さんに教えてもらい、ディケンズなどの文学作品まで読むようになるのでした。

チルダはどんどん物語をのみこんでいき、それから数学も得意でした、他にもいろんなことに興味がありました。
でもお父さんお母さんはマチルダの才能には気付きません。
というか興味がない。

やがてマチルダは学校に通い出して、そこでは良い出会いが待っていたのでした。
チルダの才能に気付いた教師ミス・ハニーは驚き、なんとかこの子を上のクラスで学ばせなければ、と決意するのです。

しかし校長はとんでもない人。
どうとんでもないかというと、子どもの髪の毛をもって振り回したり、窓から飛ばしたりとか、ケーキを無理やり食わせたりとか(挿絵がキュートで救われます)、良いところはこれがもうただのひとつも無い、という具合なのでした。

そんな環境の中でマチルダと子どもたち、ミス・ハニーは知恵を働かせて仕返しをしながら奮闘する、という物語なのですが……。

読み終えてからすぐはわたしは、
完全に個人的な感情なのですがひとりの人間が100悪に描かれているとすぐそこばかり気にしてしまって。

もちろん児童向けの作品だと分かっています。
児童書がわたしは好きだし、また小さいころは「チョコレート工場の秘密」がおもしろくてたのしみだったから、子どもの目を大切にするからこそパキッと善悪があって、痛快に笑えて、というのも分かるのですが、すぐお父さんとお母さんはどんな人生歩んできたのやろうとか、意地悪な校長は実は秘めた思いがあるんちゃうかとか考え出してしまい、グレーを待ってしまい、環境が違っていたらどうやったろうとか、わたしの偏見なのかも。

例えばこの間もおなじ思いをした本があって、
それが「月と六ペンス」だったのですが、

読み終えてどんなふうに思ったかというと、
この本に関しては善悪というよりかは正直いって、人間ってもっと複雑ではないかとかそういったことを思ってしまったのです。
極端すぎてかえって単純に見えたというか。

でもこれには続きがあって、
というのもこういうふうに心に残った本というのは簡単には離れてくれないから、居心地の良かった本よりもずっと忘れられなくて、考えてしまって、すると別の本も読んでいるうちになんだかちょっとだけ、あの人こんな気持ちだったのかもとか、思い込みやったかもとか、勝手に解釈し始めたり、時間が経つごとに感じ方は変わり、また読み返したいと思っているところ(読んだら感想書こうっと)。

自分の子どもの頃は
「マチルダは小さな大天才」の校長のような人は、いた。ミス・ハニーのような人もいた。ミス・ハニーのような人には、校長要素はゼロだったかというと、そうではなかったと思う。反対に校長のような人には、ミス・ハニー要素はゼロだったかというと、あの一瞬はそうだったのでは、ともいちいち考えてしまう。

でも違う、
この本はまず第一に創作物だし、子どもの自由な旅の場でもあって、読んでいる間はほっとできて、息ができて、言い返せない理不尽と戦い、立ち向かい、勇気が湧いて、マチルダに背中を押してもらい、閉じたあと景色は変わっていなくとも、支えにしている子どもがいる、ということを忘れちゃいかんぞ。
現にいまも苦しんでる子どもはいるではないか。理不尽な環境で。救いもない環境で。きょうも。怒りはすごく、ある。

だから「いっぽう校長にはこんな面もありました」とか言い出したら終わらんやないか。これは、そういう本ではないのやぞ、そういうことではないのやぞ。
グレーまで描いている作品もあれば、時にはわかりやすく、たのしくスカッとなって頑張れる本もあるし、「〜だから良い」とかないし、っていうかじっさい子どもの頃そうだったではないか、たのしみにしていたではないか、チョコレート工場を。

つまるところ「マチルダは小さな大天才」は作者からの愛なのだった。愛の塊なのだった。
ユーモアを持って日々に、立ち向かえ!
負けるなマチルダ
というわけで
勝手にひとりで考える日記になってしまった。

明日は
チョコレート工場の秘密」に会いにゆきたいな。