yuriのblog

日々のあれこれや、小説・海外ドラマ・ゲームなど、好きなことについてたくさん書いていきます。

パヴェーゼ「美しい夏」

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。

 

 

「美しい夏、知っていくということ」

2020.03.07

 

 

 

16歳のジーニア。
彼女は、ある夏を、少し年上のアメリーアと過ごす。
アメーリアは、すでに知っているように見えた。自分とは違って様々なことを。
とつぜん自分が子どもじみて感じられたジーニアはアメーリアのあとをついて行くようになり、じっさいアメーリアの世界はほんとうにジーニアのそれとは違っていたから、ジーニアは友だちとの他愛無いお喋りでは物足りなくなって、少女から「知っていった」のだった。同時にたくさん傷付きもしながら。
またアメーリアからすれば、ジーニアは以前の自分でもあった、というのは少ししか年は離れていないとはいえ、ジーニアの傷は過去見てきたものでもあったから。

ふたりの少女が過ごした夏。
少女とそうでないが入り混じった夏の時間は傷だらけで痛々しくって悲しくて見覚えがあって、激しく移り変わる心の様子が、街の景色がもう戻らないことが「美しい夏」だった。

ジーニアと、アメーリアと、
夏を終えてからはどんな時間を過ごしただろうな。
どんなふうに、生きていっただろうなあ。