*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。
「お茶目すぎて親しみを感じるエッセイ」
2017.01.21
「沈黙ーサイレンスー」が今日から公開される。
原作は遠藤周作の小説「沈黙」。
わたしはこれまで好きな小説ばかり読んできた。
「好きな」というのは主に現代小説が多く、そのなかでも、好みである物語を選ぶことが多かった。
もちろん本を読むにあたって「楽しむ」のは大前提だ。
けれど少しずつ、共感するものだけでなく、まだ触れたことのない世界や、近寄りがたかった作品も味わいたくなってきたのだった。
先だって、本書「私は私、これでよし」に目がいき、パラパラとめくってみた。
すると、難しいのではないかと想像していた文章は、驚くほど読みやすく感じた。
急いで家に持ち帰り、さっそく本を開いた。すると数分後には一人家の中で声を出して笑っていたのだった。
小説ではなくエッセイなのも、読みやすい理由だろう。
5章に分かれている。
お茶目な部分がありありと伝わってくる。
「他人になりたい願望」では、カツラをかぶって他人になりすまし「 “ケチ” はくたびれるもんです」では、ケチの先輩に出会い、自身も徹底的なケチ男に改造しようと試みる。
中でも一番面白く読んだのが「思いちがい」。
著者が学生から聞いた話が書かれているのだけれど、黒板が狭かったため、教師が二行に分けて
経済学部
への期待
と書いたところ、真面目な生徒がタイトルのとおり「思いちがい」をし、一生懸命に「屁の期待」について作文を書いたとか。
それを表現する言い回しがなんともおかしく、ユーモアに溢れていて、夜中声を押し殺して読んだのだった。
これを機に小説を読むのがますます楽しみになった。