*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。
「きみは赤ちゃん」のこと
2017.02.24
「きみは赤ちゃん」を読んだ。
出産、育児について綴られたエッセイ。
書かれていたのは、妊娠発覚からお子さんが無事に一歳を迎えられるまでのこと。
妊娠発覚という、正にこれはもしかして! という段階から、地獄のようなつわり、マタニティーブルー、出産、産後クライシス、夫婦関係、仕事との両立、保育園問題、など様々な体験談が詰め込まれていた。
文章が息づいていて、慌ただしく過ぎ去って行く目の前の一瞬を、なんとか掴み取ろうとしているような気迫があった。
改めて、出産というのは命懸けであるのだと思った。
それで、改めて考えてみると本当に凄いことだなあ。人ひとりが存在する以上、もちろんそれぞれに違いはあるにせよ、確実に向き合った時間があること。などと考え出すと、気持ちが高ぶって止まらなくなった。
普段から作者の小説のファンで読んでいるが、また違った良さがあり、単純な感動秘話とかではなく何も無いところから “生まれる” ことの色々を思った。
最近では、「マタニティーブルー」、「産後クライシス」、などの言葉もよく聞かれるようになったが、言葉ひとつでは片付かないリアルタイムの思いが書かれてあって、後半になるにつれまるで自分の身に起こっていることのように、一気に読み終えてしまった。
性のこと、夫婦という、他人同士がつくりあげていく必死の “何か” 。体の変化。気持ちの変化。変化。変化。変化。待って欲しいなんて言える間も無く、物凄い勢いであらゆる初めては迫ってきて。
私自身は出産を経験したことはないが、でも読みながら気持ちが揺さぶられられっぱなしだった。
“その時だからこそ” 残せた感情の爆発が溢れていて、切実で、大切な一冊になった。手に取って良かったなあと思った。また読み返したいと思う。