yuriのblog

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「孫と私の小さな歴史」佐藤愛子

 

*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。

 

 

 

「本気でふざける最強のおばあちゃんと孫の20年の歴史」

2017.02.26

 


トトロの衣装を着たおばあちゃんと孫。

 

広大な緑に立つふたりは可愛らしく、赤い傘まで用意するこだわりから、本気度が伝わってくる。

 

 

「孫と私の小さな歴史」では、作家佐藤愛子さんとお孫さんの年賀状の歴史が写真つきで載せられている。その期間、なんと20年。

 

 

 

ささいな出来事から始まった年賀状の撮影は、いつしか著者の生きがいになっていたそうで、毎年ああでもないこうでもないと必死で考える様子は、想像するだけで思わず笑ってしまう。

 

生まれたときから当たり前だったお孫さんは、よその家もみんなやっていると思っていたそうだ。

 

 

泥棒、夫婦喧嘩、赤ちゃん。

 

毎年テーマを考え、簡単に済ますのではなく手作りなどできちんと衣装を用意し、すっかりなりきった表情で写るふたりの姿は微笑ましい。

 

 

またある年はなんとコギャルになりきっていて、ガングロメイクにミニスカートを履いたツーショットには思わず目を見張ってしまった。

しかしこれが驚くほど似合っているのだけれど(笑)。

 

 

 

はじめは赤ちゃんの姿でうつっていたお孫さんは、当たり前だけれど少しずつ大きくなっていく。

 

 

思春期を迎えたころは「どうしてこんなことしなきゃならないんだ」と思ったこともあったそうだ。

 

 

けれど容赦しないのがおばあちゃん。

何度も写りをたしかめ、容赦なく指示もとばし、年賀状の歴史は20年続いてゆく。

 

 

写真とともに掲載されているエッセイでは、お孫さんとの思い出がたくさん。

 

 

シャッターを押そうとすると大泣きしたこと、一日中セーラームーンのおまじないを言っていたこと、京都へ一緒に旅行へ行ったこと、お蕎麦屋さんのアルバイトを始めたこと。

 

 

わたしにはおばあちゃんの思い出がほとんどなく、いたらいたでブーブー文句を言ったかもしれないけど、こんなおばあちゃんがいたら楽しいだろうなあと思った。

 

 

メールやSNSが主流になったいま、年賀状はグンと減ってしまった。

けれどこんなふうに、一年に一度、楽しめる行事はいいなあと思うのだった。