*以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。
「パワフル歌子さん」
2019.03.30
影響されやすいところがあるので、元気の出るものをよめば読み終えるころには文字通り元気付けられていることが多い。単純にできているのは、時に短所となることもあるけれど、「楽しむ」という点では得をしているのかもなあ、などとおもったりする。
「姥ざかり」という小説を読んだ。
七十六歳の歌子さんは元気だ。
二十代の私なんかより断然元気。
どう元気なのかというと、とにかくおもったことは言う、くだらない人付き合いは嫌いだし、世の年寄りに対するイメージなんかくそくらえ、あっさりした食事が好きだとか、孤独ばかり感じているとか孫がかわいくて仕方ないとか決めつけるな、という確固たる意志をもったひと。
息子は三人いるけれど、なんだか息子たち、それから嫁たちのほうが世間体ばかり気にしていて窮屈そう。
対して歌子さんのほうは、マンションでひとり暮らしをしながらしっかり働いた分、まだまだ人生を謳歌していて、地味なファッションに身を包むでもなし、明るい色を好み、うつくしい家具・食器を好み、それからコソ泥に入られてもなんのその、青年に説教を開始、青年も縮みあがってしかもその後は友情を育むという……歌子さん、まぶしすぎる。
ちょっと生きたぐらいで人生悟った気になってたらいかんなあ、まだまだみていないもの、ふれていないもの、たくさんあるのやし。
と、単純な私はそのまんま歌子さんの活力をいただいて、とはいっても歌子さんのようにはなれそうにないが、明日がちょっぴりたのしみになる一冊であった。