以下の文章は、以前読書サイトにて投稿していたものになります。そのサイトが閉鎖される為、こちらに文章をうつしていきます。
「眠れない夜、読んだ本」
2016.10.01
益田ミリさんの作品にハマったきっかけは「すーちゃんシリーズ」の「どうしても嫌いな人」です。
綺麗事だけが人生ではない。
誰かを嫌いになることだってある。
複雑で、心の中にしまっている繊細な気持ちが読むことで浄化されていくようでした。
というわけで、ほかの作品も読みたくなったわたしは書店へダッシュ!
三日間でたくさん出会いがあったのでご紹介していきます。
まずは、順番がバラバラになっていた「すーちゃんシリーズ」を追いかけることにしました。
まず一作目は「すーちゃん」。
主人公すーちゃんは日々の仕事に励み、充実した日々をおくりながらもどこかモヤモヤした気持ちを抱えています。
「わたしはどんな人間になりたいんだろう」
「そもそもいい人ってなに?」。
誰もが一度は抱えるであろう葛藤は、自分を見つめ直すきっかけを与えてくれます。
二作目「結婚しなくていいですか」で書かれているのは、35歳のすーちゃんが抱えている「このまま一人で生きていくのかな」「将来はどうなるんだろう」などの不安。
「わたしはわたし」、そう分かっていてもどうしても比べてしまう日はある。
時には、年齢による悲しみを感じることもある。
読んでいると、友人に話を聞いてもらっているような救いがありました。
どちらもあらすじだと、重たい内容に感じますが、読者の気持ちに寄り添った心の内がメインとなっていました。
三作目「言えないコトバ」は、
知っているけれど使えない、日常のささいな言葉がテーマです。
「育ちがいい、育ちが悪い」
「おひや」
「結婚しないんですか?」
「今の子供はかわいそう」
「ズボン」
など、戸惑いだけでなく、クスッと笑ったり、人を思う優しさが伝わるエピソードがたくさんありました。
四作目は「女という生きもの」。
はじめて生理がきたときのこと、急な身体の変化に対する驚き、隠せなかった思春期の気持ち。
悲観的になりすぎず、相手に寄り添うことを忘れない、それは結果的に、自分を大切にすることと同じかもしれないな、そんなことを思う作品でした。
最後は「47都道府県女ひとりで行ってみよう」
そういえば日本に生まれ日本で育ったのに、行っていない都道府県がたくさんある、そう思った著者は毎月ひとり旅へ出かけることに。
おもしろかったのは、“楽しもうと無理をしない”こと。
「つまらないときはつまらない」「誰かと話したくない日はホテルでまったり過ごす」というのは、とてもいいなあと思いました。
ガイドブックのようなものではありませんでしたが、「~でなければならない」ことはない、時にままならない人生でも、挑戦してみようじゃないか、と思えました。
ああ、なんだか今日は眠れない。
そんなとき、悲観的なこころをじんわり、肯定してくれました。一歩一歩、ときに後ろへ下がってもわたしという人間はわたししかいないのだから、と。